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2021-11-20
蘇州の冬を発見---静かで賑やか?

はじめに:

中国の“江南”と言えば、桃の赤と柳の緑に染まった風景が浮かぶが、冬は白壁と瓦に挟まれ延々と続く路地、青黒く厚み感じさせる石畳道など独特の雰囲気があり、正面から吹いてくる冬風や霧、遠くから鳴り響く鐘の音が、静で心を落ち着かせてくれる。

本文:

寒山寺で聴く新年の鐘音

“姑蘇城の外に寒山寺があり、夜中に鐘音が客船に響き渡る”これは唐朝詩人張継の詩《楓橋夜泊》です。彼が夜に楓橋の下、松江で宿泊し、鐘の音を聞きながら旅先での寂しい思いを紛らそうとしたという内容。現在、この詩は寒山寺観光エリアにある高さ16.9メートル,重さ400トンの“中華第一の石碑”に刻まれている。

寒山の拾得ストーリーや名詩《楓橋夜泊》により、寒山に行ってみたいと思う人が増えている。魏晋南北朝時代からある長い歴史持つこののお寺は、普段は閑静で素朴で古風。一年に一度、新年の鐘音イベント期間には人が溢れとても賑やか。世界各地から人が集まる行事となっている。

毎年の大晦日に、寒山寺でも日本と同じように鐘を108回鳴らす。仏教では人間が一年に108個の悩みがあると言われており、鐘音を聞き終われば、来年の悩みも風と一緒に去って行くと言われている。新年の鐘音イベントチケットがあれば、早めに観光エリアへ入る事ができる。大鐘大碑園を回り、賑やかな楓橋通りへ行けば、銅鑼や太鼓の騒ぎで湧き返し、屋台も多いので、一瞬にして新年の雰囲気に巻き込まれる。

賑やかな祭りを廻った後は、寒食殿舞台前や鐘台付近でベストな場所を確保し、23時42分より開始するイベントを待つ。108回の鐘鳴らしを終えても、鐘の音が耳の奥に残り、3日経っても絶えないということわざもある程だ。その後、観光客自らによる鐘鳴らしが可能となり、列に並んでお祈りをしよう。

拙政園で冬を楽しむ

蘇州で雪鑑賞するには園林は欠かせない場所である。こちらでは本場の姑蘇雪が降り注ぐ。楼台の高殿、彫刻絵が装飾してある華麗な家屋……至る所にこだわりが見える。江南園林の巧み、その上薄い雪に覆われるのはとても珍しい綺麗な景色で、心を静められる場所である。

拙政園は蘇州が現存する最大の古典庭園で、豊かな水を利用し、池を配置した素朴な美しさが特徴。庭東園、中園、西園の3つに分かれており、東園は広々とした緑の公園といった雰囲気で、見所のほとんどは中園に集中している。西園の建物は繊細な造りになっており、それぞれ違った特徴をもっている。南園には蘇州園林博物館が建っており、国内で唯一、庭園をテーマとした博物館になっている。

拙政園の夜明けはまるで一枚の絵巻のよう。朝霧、鳥の鳴き声、川のせせらぎが仙郷のような雰囲気を作り出す。開園前の庭園には騒がしい人声がなく、自然の音、冬の樹木、朝霧に覆われた庭園の建物だけが目立ち、その繊細さや美しさを体験できる。ガイドさんも随行する為、ゆっくりと静寂な庭園で散歩しながら、庭園物語を聞くことが出来る。観光客は12時間前に予約し、拙政園開園の際に見山楼の非公開エリアに入ることができる。ここではお茶を賞味したり、琴を聞き古書を読み,より一層深く、拙政園や蘇州の伝統文化を味わうことが出来る。

お茶を賞味、花を鑑賞、留園を味わう

留園は拙政園と同様に、中国の四大名園の一つである。留園内の美しい“冠雲峰”は江南でも唯一無二の築山、見どころである。同時に、留園内では中国式華道、茶道といった体験ができるのでお見逃しなく!

中国生け花芸術の賞美及び体験

中国の生け花芸術は古代民間の生け花、花鑑賞、贈呈、コサージュ、髪に花をさす等の花関連のイベントから由来する。目が保養にもなる同時に、自分も優雅な中国式ライフに戻れる。自然な力を体感し、草や木といった植物を観察、陰陽の道を体験する。留園では、中国生け花巨匠の作品やビルディングの逞しさと園景が融合し、チャイニーズスタイルの深みを味わう事が出来る。 

中国式茶道の賞美及び体験

留園の薄グレー色の壁に窓の影が映り、簡易な茶席の一角には手作りの炉や壺が置いてある。テーブル上の瓶には二三本、黄色くなりかけている白い花が斜めにさしており、優雅で静寂な淡い感じだしている。席にはさほど人がいないため、騒ぐこともなく、程よい距離を保ちながら、ただただ静かに茶席を囲んで座り、お茶の浸す音を待つ。中国式の茶道演出は非常に心を揺さぶる力があり、茶芸師の軽やかな動きを見ながら、目の前に運んでくれる。軽くひと口飲んでみると、心も体もホッとし、茶道に含まれる深い禅の意味が理解できたような気がする。